この季節は、中学生・高校生の「体験学習」シーズンとなり、たくさんの学校・生徒が若狭地域に訪れてくださいます。やっぱり「海」に絡めての体験が多く、「釣り体験」や「養殖の餌やり体験」「干物作り体験」などさまざまある中で、弊社『自然に大の字 あそぼーや』では「カヤック体験」を提供させていただいています。
「楽しい」をベースに、海の雄大さと、チームワークの必要性を感じていただこうと考えて受け入れさせていただいているのですが、時に学生さんも自然の中での開放感から、はしゃぎ過ぎてビチョビチョに濡れたり、ひっくり返ってしまったりして、指導者や先生方を困らせることもあるんです。
少しヤンチャな学校なんかもあったりして、「仕方ない部分もあるよね」と温かい目で見守りながらも、事故のないように注意して体験時間を過ごすのですが、今回の彼たちは一味違って、笑ってしまいました。

私はこの日も、最後尾からカヤックの群れがあまり広がらないように、遅いチームがいたら、安全を考慮して押し上げる役割だったのですが、それは体験時間の後半に起こりました。
この日もタンデムのカヤックを使用し、2名ずつで力を合わせて漕いで楽しんでいただいていたのですが、前半戦はガンガン漕いでいたはずの男子2人組のカヤックが、折り返し場所を過ぎて浜へ帰っていこうと漕ぎ始めた後半、突然漕がなくなったのです。
「え???」
これまで、はしゃぎ過ぎた生徒に「コラ!ひっくり返るぞ!気を付けて!」「そんな態度だったら、危険やから早く終わるよ!」といった声がけをすることはあったのですが、漕げるのに漕がない生徒に対して声を掛けたことが今までになかったことに気づきました。
「おーい!行くぞ行くぞ!みんなについて行くよー!」と言っても、スルー…。「次の体験時間に間に合わなくなるから漕いでよ~!」と言っても聞こうとしない様子。近寄っていくと逃げる(漕げるから)。おいおい…どうすんのよ……優しく「どうしたんや?何かあったんか?」と寄り添ってみましたが無視…。ほっておいて先に行くわけにもいかず、そのタンデムと私が「ステイ」状態。今までに経験したことのない抵抗に、少々戸惑ってしまいました。
なかなか面白い抵抗やな。確かに、ニュースでよく見る「座り込み」はこんな抵抗やもんな。今までにない、なかなか面白い体験をさせていただいた「カヤック体験学習」でした。
(代表理事 田辺一彦)