この事業には、代表理事・田辺一彦の両親が経営していた民宿を継承したことをきっかけにスタートしているが、この事業も奥深い思いがあり、現在も推し進めています。
過去から続き、将来へとつなげるべき観光産業
民宿だった頃、まさに田辺一彦が生まれてから学生だった時代には、常神半島に150軒程の宿泊施設が存在していた。それは、1970年の「大阪万博」「東海道新幹線開業」「東京オリンピック」が日本国内で行われ、日本国民が「旅行」に新たな楽しみを見いだし始めたことによります。その頃には「旅行をする」「移動する」ことがステイタスとなり、日本中で大移動が繰り返されていました。この地域もその波に乗り、たくさんの観光客が訪れました。
それが、まさに今、一巡し、「東京オリンピック」「新たな大阪万博」が開かれ、東京~敦賀間を繋ぐ「北陸新幹線」が開業しました。また、インターネットの普及により、新しくより詳しい情報が入手できるようになっています。そして、「旅行」の価値も大きく変わり、より付加価値を高く感じられる場所・体験・食事にしかお金を使わない時代になってきました。そうした状況の中、次第にこの地域の観光産業は落ち込み、150軒あった宿も今では60軒ほどになってしまっています。
この土地の先代達が、今後のことも考えて頑張ってきた観光産業を絶やしてしまうわけにはいきません。私たちも「今後のためになる産業として復活させたい」。そんなことを考えながら四苦八苦して頑張っているのがこの宿泊活性化事業になります
私たちにとってこの地の「理想空間」とは
これまでの観光産業は「とにかく多くの観光客に来ていただきたい!」といった思いが先行し、この土地のキャパシティを考慮することはありませんでした。そのために、観光産業に携わる労働者は疲弊し、未来の楽しい夢を語ることができなかったのではないかと感じています。
今後は、「足るを知るものは富む」の如く、「自分たちの求める空間とはどのようなものか?」をまず考え、それに向かってどのように活動するべきかということを観光業者みんなで話し合い、共有し、「自分たちの理想空間」先行で行動していきたいと考えています。その中で、「宿泊業者はどうあるべきか?」この部分を楽しみながら進めていきたいと考えています。